買い物をしていると、ふとした瞬間に「損したくない」と思うことがあります。
同じ商品なら少しでも安い方を選びたくなったり、値引きシールが貼ってあると得をした気分になったりします。
この感覚は、多くの人が自然に持っているものです。
できるだけ損をせず、少しでも得をしたい。そう思うのは、ごく普通のことのように感じます。
しかし、ここにも少し不思議なところがあります。
それは「損をしたくない」という気持ちが、ときどき合理的な判断とは違う方向に私たちを導くことがあるということです。
例えばスーパーで大容量の商品を見たときです。
「こちらの方が割安です」と書かれていると、つい大きい方を選びたくなります。小さい方を買うと、どこか損をしたような気持ちになるからです。
けれど実際には、使いきれずに捨ててしまうこともあります。
それでも人は、「小さい方を選ぶのはもったいない」と感じてしまうのです。
また、有料のゴミ袋でも似たことがあります。
大きい袋は安心ですが、ゴミが少ない日は袋の中に空気ばかり入っていることもあります。小さい袋をうまく使えば安く済むのに、「せっかく買ったから」と思って大きい袋を使ってしまうこともあります。
つまり人は、実際の損よりも、
「損をした気分」になることを避けようとするのかもしれません。
これは言い換えると、「得をすること」よりも「損をしないこと」の方が強く心に残るということです。
少し考えてみると、私たちの生活にはこの感覚がたくさんあります。
ポイントカードを集めたり、セールを探したりするのも、損をしたくないという気持ちの一つです。
もちろん、損を避けること自体は悪いことではありません。
けれど、ときどき立ち止まって考えてみると面白いことがあります。
それは本当に「損」なのか。
それとも、ただそう感じているだけなのか。
小さい袋を選ぶことが、本当に損なのか。
それとも、むしろ無駄を減らしているのか。
そんなふうに考えてみると、
「損をしたくない」という気持ちは、私たちの生活を守るための感覚であると同時に、ときどき少しだけ判断を曇らせるものでもあるのかもしれません。
だからこそ、たまにはこう考えてみるのも面白い気がします。
本当の損とは何なのか。
そして本当の得とは何なのか。
その答えは、もしかすると値段ではなく、
自分の生活に合っているかどうかの中にあるのかもしれません。
これはどっちが正しい?
▶「二兎を追う者は一兎をも得ず」と「一石二鳥」